a storn story 4
こんばんは。石シリーズは巷のブックカバーチャレンジのように、7日間完結にしようかと思いつきました、doraです。ということで、これを併せてあと4つのお話をお楽しみいただけたら嬉しいです。では、さっそくどうぞ〜
a storn story 4
宇宙から間違って地球にやってきた。みたいなやつだった。
白い世界に少しグレーがかったやつは、まわりから浮いてた。だから、手に持ったときに離せなくなった。
もっと白い美しいサンゴも、黒くつやっとした石も、水に反射して光る貝もあったのに、波打ち際で、わたしはやつを選んだ。
何度も捨てようとして、なぜかわたしを魅了したやつをバッグに入れて、一人白いワゴンを運転して帰った。
大抵拾ったもののストーリーは忘れてしまっているが、こいつとの出会いは忘れない。今まで拾ったやつのどの子よりも平凡だし、重さも、色もわたしの好みではない。
うーん不思議だなあ。思いを巡らせ、いつしかそんなことを考えていたことすら忘れてしまった。
今改めて手にとって分かった。
こいつにはそこはかとない優しさがある。指に当たる円周は、石のくせして柔らかだ。ふわっと優しい。熱はないけれど、冷たくもない。包み込んでいるのは自分なのに、包み込まれている優しさがある。
―他の石になくて、こいつにある唯一のものと言ってもいいのかもしれない。
今日もご覧いただきありがとうございました。素敵な夜をお過ごしください◎ではまた。