doraの空想茶室 物草庵

日常のなかに、ホッとするひとときを。

inside traveler day1

 

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―at Tokushima


空も、海も、川も。
青く、青く、どこまでも青い。
透明で、思わずダイブしたくなる
あの、青さ。

四国最古の禅寺、城満寺。
小高い丘に伸びる階段。
その上に本堂。
山に囲まれながら、広く周りを見渡せる。

早朝。
鐘の音。
それ以外に音はない。
そっと座布団に座り、
手を合わせて、目をそっと閉じる。

座禅。
静かなる時が流れる。
瞬間の積み重ね。
足にしびれが走る。
今日の朝ごはんなんだろうな。
スケジュールはどうなっているだろうか。
頭に流れる雑念。

呼吸を忘れる。
瞬間にとらわれて、呼吸がいつの間にか置き去りになる。
取り戻してもう一度体を整え直す。

風。
本堂を出ると、強く風が吹いていた。
下から吹き上げるような風にふかれたまま。
太陽がいつの間にかサンサンとわたしたちを照らす。
話しながら階段を降りる。
ひだまりと風がみんなの間を柔らかく
通り抜けていった

縁側。
太陽はジリジリと照りつける強さになった。
喉の乾きをスイカで癒やす。

透明に光る不思議な食べもの
きなこをかけて、つるりといただく。
爽やかに喉を駆け抜け、上品な甘みが残る。
箸で持ち上げると、つるりと滑ってガラスのお皿にダイブしてしまった。
慌ててもう一度掴み直し、一気にすすった。
こんなにおいしいところてんは食べたことなかった。

マントラ
om
全てに感謝すること。

チャレンジする貪欲さ
ヨガへの愛
楽しむことだけにエネルギーを注ぎ込むこと
彫りの深いハンサムな顔立ちが
にやりとしながら
自分の秘訣を教えてくれた
いつも自分で淹れるスペシャルなコーヒー
差し出されたカップから漂う
香ばしい香りが
みんなを包んだ

隣にいるだけで、
その人となりが分かる。
やめているのではなく、
ただいらないからそうするだけ。
自分の感覚に素直に従うこと
生活の全てがヨガで
ヨガが生活の全てだった。
気負いが一つもなく
ただひたすらに自分へと向かっている。
そんな人だった。
先生よりも、
ヨガを教えてくれる兄ちゃん
そんな親近感のある人だった
この土地を楽しんでくれればそれでいい
そう言って笑った

藍染で染まった爪がお似合いの
かわいい人だった
哲学に造詣が深く
質問にはなんでも答えた
言葉は体に作用することを教えてくれた人
静かに優しく
後ろで見守っている。
あたたかな眼差しを持つ人だった

om
どこかでまた鐘の音が響く。
無邪気な大人の夏休みを
また思い出す
たった2泊3日の旅は
思い切り楽しむために
存在していたのだろう
少なくともわたしにとってはそうだった

風が
海が
空が
川が
透明で青い全てが今もわたしの心に優しく語りかける。

ヨガを続けている限り、また会えるよ。

いつか、また会おう。