からだじゅうで呼びかける
おはようございます。今日は寒いですね、doraです。
本日は最近読み終わったワンシーンに感動した話をします。前回もご紹介した、岡田淳さんの「こそあどの森シリーズ」(理論社)。今回は「シリーズ⑤ ミュージカルスパイス」をご紹介します。この物語の最後の方に、物書きのトワイエさんとしっぽが光るホタルギツネが出合い、話すシーンがあります。
トワイエさんは、なぜか飛べるようになった鳥男の話をしました。鳥男は、周りの人と分かりあえず、その人たちの元を去ります。ホタルギツネはその話の続きを聞きたがります。去ったあと、どうなるのか?と。トワイエさんは、分かりあえる人と出会えると答えます。
「じっと待ってちゃあらわれません。ええ。だから、さがしにいくんです」
「さがしに、ね」
「ただうろうろしてるだけじゃ、んん、だめです」
「どうするんだ」
「呼ぶんです」
「呼ぶ?」
「『おーーい』って」
「『おーーい』って呼びながら、さがしまわってるのかい」
「あ、いや、その、口に出してってことじゃなく……」
「口にださない……?」
「そうです。……ええ、その、ことばじゃなく、すべての感覚で呼ぶんです。目で呼ぶ、……そう、足の裏で呼ぶ、背中で呼ぶ、もう、からだじゅうで呼ぶんです」
「からだじゅうで呼ぶ……な……」
「それから、ほかのひとが、その呼びかえしてくるのを、ええ、きかなければなりません。それだって、全身で、すべての感覚で、からだじゅうで、きくんです」
児童文学って、大人になってから読むと、また違った味わいがあります。多分昔読んだときは、二人の会話やストーリーの面白さを楽しんでいたのだろうと思いますが、今はちょっとしたエピソードやお話がすごく刺さるのです。
本当に心から望んで、分かりあえる人と出逢いたいという願いを持っていたならば、多分その時は全身でからだじゅうで呼びかけて、そうしてからだじゅうで聞いていたのだと思います。
私も今日はトワイエさんの言うように、呼びかけてみたいと思います。誰かが答えてくれることに耳をすませながら…今日も素敵な一日を!