doraの空想茶室 物草庵

日常のなかに、ホッとするひとときを。

a storn story 3

こんばんは。今日も性懲りもなく石の話です。

a storn story 3


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5%
軽い傷がついた。小さなかすり傷だ。誰も気づかないくらい、とっても小さなもの。気にすることはない。そう思ってた。

20%
傷は、深く茶色に変色してきた。傷もない部分は白く小さなかけらがキラキラしている。硬いと思ったら案外もろくて、流れ落ちたのちに今にも崩れそうだ。傷は、深くえぐるように進む。とどまることを知らない。わたしはどこまでも潜り込んでゆく。

40%
もうこれ以上、ここに入ってこないでくれ。そう言い聞かせても頑なに首を縦にふろうとしない。何度振り払っても、かじりついてくる。
ああ、どうしたらよいだろう。思案に明け暮れるふりして、考えることを手放し、たばこをふかした。ふかすふりしてみた。

75%
声が届かない。黒いと思っていた肌は白く、わたしはどこで勘違いしたんだろ?と不思議な気持ちで彼を見つめた。まっすぐに見つめてくる瞳が訴える。お前はあのとき何をしていたのだ、と。そうだ、いつの日かわたしはかけ違えた。間違えたわけではない。きっと守ることに必死だっただけだ。遠い昔の話だよ。

92%
ものすごく濃いエスプレッソを飲まされたみたいに苦い顔したまんま、固まった。なにかが全身を貫き、頭は真っ白だった。客観的に真っ白だったなーと、どこか冷静な自分が、いる。泣き出しそうな青い空と機嫌の悪い雲が俺をいつまでも離さない。何度も何度も寄せてはひいて、寄せてはまたひいて。まるで波のようだ。

100%
ついにここまできたか。途中から何も考えられなくなってた。黒さも白さも、傷の深さも。どこかで、またあの衝撃に出会うことを願ってる自分がいる。もう、そんなことはないのかもしれないけど、と余韻に浸ってみる。

わたしと俺が混じったとき、この世界のどこかのカケラが変わってゆくのだろうか。

それをじっと噛み締めて、わたしは、俺は、いつまでもこの世界を観るのだろう―。


今日も一日お疲れ様でした。ゆっくりお休みくださいね◎